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               連載<相対論>



     第8回第5章電磁気と相対論1 (全12ページ)New! New!
       
付録B ビオ・サバールの法則,付録C アンペールの法則を用いる具体例
                   (全8ページ)New! New!
     第7回第4章荷電粒子にはたらく力2(全11ページ)
     第6回第4章荷電粒子にはたらく力1(全11ページ)
       付録A ガウスの法則とそれを用いるいくつかの例(全2ページ)
      第5回第3章相対論的力学2(全12ページ)
     第4回第3章相対論的力学1(全10ページ)
      第3回第2章特殊相対性理論2(全12ページ)
      第2回第2章特殊相対性理論1(全10ページ)
      第1回第1章プロローグ(全9ページ)




 「相対論」というと,皆さんはどのようなイメージをもたれるでしょうか。相対論は,
現在の高校物理では扱われないため,アインシュタインによってつくられた難解な
理論,そしてその結論は我々の日常経験に照らすと非常識なもの,こんな風に思
っている人も多いかも知れません。
 本連載では,大学入試レベルの物理に親しんでいる読者層を想定し,そのレベル
の数学と物理の知識を用いながら,できるだけ厳密に,かつ,分かり易く解説する
つもりです。
 「相対論」に関しては,最近,きちんとした内容で,かつ易しく書かれた本もたくさ
ん出版されるようになりました。それらの多くは,大学初年級レベルを想定していま
す。このような本には,
・中野董夫著 : 物理入門コース9 「相対性理論」(岩波書店)
・砂川重信著 : 物理の考え方5 「相対性理論の考え方」(岩波書店)
・松田卓也・二間瀬敏史著 : なっとくする相対性理論(講談社)
・A.P.フレンチ著,平松惇監訳:MIT物理「特殊相対性理論」(培風館)
などがあります。また,もう少しレベルの高いものには,
・内山龍雄著 : 物理テキストシリーズ「相対性理論」(岩波書店)
本格的に勉強する本には,
・ランダウ・リフシッツ著,広重徹・恒藤敏彦訳 : 理論物理学教程「場の古典論」
                                     (東京図書)
少し変わった本として,
・テルレッツキー著,中村誠太郎監修 : 相対性理論のパラドックス(東京図書)
などがあります。翻訳を含め,日本語になっている「相対論」の本に限っても,これ
ら以外,多数にのぼります。本連載でも,上に挙げた書物の他,多数の書物を参考
にさせていただきましたが,特別な場合を除き,参考文献をいちいち挙げることはし
ません。

 相対論は順序良く学べば決して難しいものではなく,特異な理論でもないという
ことがわかると思います。この連載を通して,皆さんが少しでも相対論あるいは物
理学に興味をもち,さらに勉強を続けることに役に立てば幸いです。

 さあ,「相対論」に進もう。



     
第8回 第5章 電磁気と相対論 1  New! New!

 本章では,相対論と電磁気の関係について考える。電磁気の法則が,ローレンツ
変換の下にどのように変換されるかを見るには,電場と磁場を同時に考える必要が
ある。電場と磁場を同時に考えると,電磁気の法則はすべてローレンツ変換の下に
不変となる。このことを確かめるためには,電磁気の基本法則を微分形に書き直す
必要がある。そこでまず,電磁気の基本法則であるクーロンの法則を一般化したガウス
の法則,アンペールの法則,および電磁誘導の法則を説明し,それらの微分形を導く。
 
付録B ビオ・サバールの法則
 付録C アンペールの法則を用いる具体例 
を付加する。

     本文はPDFファイルで書かれています。このファイルを開くには,
              「Acrobat Reader」が必要です。

     
第8回第5章電磁気と相対論1(全12ページ)New! New!
       
付録B ビオ・サバールの法則,付録C アンペールの法則を用いる具体例
                   (全8ページ)New! 
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第7回 第4章 荷電粒子にはたらく力 2  
 前回に引き続き,電場と磁場の関係を考える。まず,座標系のローレンツ変換
に対して,電場と磁場がどのように変換されるのか,すなわち,電場と磁場のロ
ーレンツ変換を簡単な例を用いて導く。
 次に,動いている電荷のつくる電場について考える。静止している電荷はその
周囲に球対称な電場をつくることはよく知っているであろうが,電荷が動いている
とどうなるのであろうか。静止した場合と異なり,電荷の速度方向の電場は弱くな
り,速度に垂直な方向の電場は強くなることがわかる。

     第7回第4章荷電粒子にはたらく力2(全11ページ)


     第6回 第4章 荷電粒子にはたらく力 1  

 本章では,電荷をもつ粒子にはたらく電磁気力について考える。この電磁気力
は,相対論と切っても切れない関係にあることがわかるであろう。
 はじめに,高校の物理で習う電磁気力,すなわち,電場からはたらくクーロン力
と磁場からはたらくローレンツ力について簡単に説明した上で,一定電流が流れ
た直線導線と平行に動いている電荷にはたらく力を考える。まず静止系(導線に
対して静止した座標系)で見ると,電荷にはたらく力は電流のつくる磁場からはた
らくローレンツ力であるが,電荷と共に動く座標系で見ると,電荷の速度は0であ
るからローレンツ力ははたらかない。このとき電荷にはたらく力は電荷の位置に
できた電場による。それではその電場はなぜ生じるのであろうか。この電場は相
対論的な効果による。また,電場と磁場は座標系により異なり,磁場は相対論を
用いると,電場から導かれることを示す。
 
付録A ガウスの法則とそれを用いるいくつかの例 を付加する。

   第6回第4章荷電粒子にはたらく力1(全11ページ)
       付録A ガウスの法則とそれを用いるいくつかの例(全2ページ)



       第5回 第3章 相対論的力学 2  

 今回はまず,相対論的運動量の表式を,運動方程式を用いることなしに導く。
相対論的運動量は,その形に適当な仮定をし,簡単な例を用いると求められる。
こうして相対論的運動量が求められれば,運動量を時間で微分したものとして力
が定義される。力の表式がわかると,加速度の変換則を用いて力の変換則が求
められる。こうして,何らの物理量を既知のこととして用いることなしに,相対論的
運動量,相対論的エネルギーの表式を得ることができる。
 最後に,相対論的力学の例として,コンプトン効果を考える。

   
第5回第3章相対論的力学2(全12ページ)


         
第4回 第3章 相対論的力学 1 

 第2章で導いたローレンツ変換を用いて相対論的な力学を考えよう。
 そのためには,力がローレンツ変換によりどのように変換されるかを知らなけ
ればならないが,まず,力の速度方向の成分はローレンツ変換によって変化し
ないということを既知のこととして話を進める。力の変換則は,次回,力の定義
をはっきりさせてから導く。第2章で得た加速度の変換則を用いると,相対論的
運動方程式が求められる。相対論的運動方程式がわかると,両辺を時間に関
して積分することにより相対論的運動量と相対論的エネルギーの式が求められ
る。

    第4回第3章相対論的力学1(全10ページ)


         第3回 第2章 特殊相対性理論 2 

 さて,いよいよ「ローレンツ変換」へ進む。まずは「光速不変の原理を用いて
座標のローレンツ変換を導く。また,本章の最後で,「光速不変の原理」を用い
ないでローレンツ変換を導くという,テルレッツキーの方法を説明する。さらに,
座標のローレンツ変換を用いて,速度と加速度の変換則を求める。また,速度
の変換則から,前章で説明した光行差の式およびフレネルの随伴係数が導か
れることを示す。

    第3回第2章特殊相対性理論2(全12ページ)


     
   第2回 第2章 特殊相対性理論 1 

 特殊相対性理論は,アインシュタインにより,「特殊相対性原理」と「光速不変
の原理」を用いて構築された。まず,これらの原理を用いると,動いている座標系
の時間がゆっくり進むという時間の遅れと,動いている座標系の長さが縮むという
長さの短縮を,簡単な例から求める。また,時間の遅れの式を用いて,「光のドッ
プラー効果」の正確な式を導く。また,次回に述べる「ローレンツ変換」の準備とし
て,ニュートン力学の「ガリレイ変換」を復習する。


    第2回第2章特殊相対性理論1(全10ページ)


             
第1回 第1章 プロローグ

 まず,相対論が生まれる前,19世紀末までの光に関する物理学の歴史を
簡単にたどろう。

 アインシュタインによって相対論が提出される以前,水の波や音波
などのように,波動である光も何らかの媒質(エーテル)中を伝わって
いると考えられていた。その媒質は,何も物体のないところでは静止
しており,この媒質が(絶対)静止系を与えると思われた。このよう
な考えは,恒星から地球に達する光に関する光行差の測定とも矛盾し
ないものであった。さらに,光がエーテル中を伝わるという考えは,
フレネルの仮説,すなわち,透明物体中のエーテルは物体に引きずら
れて動くという仮説がフィゾーの実験で支持されるにいたり,疑問の
ないものに思われた。

 19世紀後半,地球表面では地球が太陽のまわりを公転しているため
にエーテルの風が吹いていると考えられていた。マイケルソンは,こ
のエーテル風を測定しようと実験を行った。その結果は,エーテル風
は全く吹いていないというものであった。このマイケルソン(とモー
リー)による実験結果は,光がエーテル中を伝わるという考えに大き
な疑問を呈することとなった。それでもローレンツとフィッツジェラ
ルドは,光がエーテル中を伝わるという考えを変えることなくマイケ
ルソンの実験を説明するため,運動物体の長さは縮むという収縮仮説
を提案した。


       第1回第1章プロローグ(全9ページ)



                      

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